スクラムでは、ベロシティを計測して生産性を計測します。 ベロシティは、定量的な絶対値としての生産性ではなくて、相対的な数値で、生産性を評価します。 例えば、スプリント1でのベロシティが 30.0 で、スプリント2で 35.0 だとしたら、5.0 ポイント生産性が上がったと評価します。
チームのメンバー構成とメンバーのスキルレベルによって、アウトプットできる成果物の量は異なります。 ベテラン1人とキャリア1年目、キャリア3年目の人のチームが目指すべき生産性を、定量的な絶対値で目標設定する場合、 ベテラン3人構成でのアウトプット量を "そうあるべきライン" として目指さないといけないのだろうか? でも、その目標をクリアできるのは、キャリアの浅い人の成長を待つことになるので、何年か掛かります。 チーム構成は時と場合によって、さまざまなので、絶対的な指標は、あまり機能しないことは、想像に易いと思います。 そもそも絶対値の求め方というか計算式をどうするのかも難解です。
そこで、相対的なベロシティの方が有効となるわけです。 ベテラン1人とキャリア1年目、キャリア3年目で、現在のベロシティは 35 ポイントと出ているなら、 それを維持するか、少し上回るように、目標設定すると、達成感も得られるようになります。
気を付けないといけないのは、ストーリーポイントの見積でのブレでしょうか。 ついつい甘い見積になってしまう傾向のあるチームでも、常に甘い見積を出している場合には、相対的なベロシティは指標となり得ます。 しかし、甘かったり、辛かったりと、毎回見積がブレる場合には、ベロシティもブレるので、見積精度の観測も同時にやった方がよいのだろうと思います。
さて、ベロシティというとスクラムじゃないと使えないと思ってる人はいないだろうか? 実は、私は、そう思ってました。 でも、どうやら、スクラムじゃなくても、ストーリーポイントでの見積とベロシティで生産性を計測できるようです。 イテレーションで期間を区切ってない開発の場合、計測時点で、タスクが完了していないこともあります。 その場合には、ストーリーポイントを、ベロシティ計測時点の進捗率で、換算します。 タスクA のストーリーポイントが 8 ポイントだとして、計測期間終了時の進捗率が 50% だとしたら、4ポイントのタスクに取り組んだことにして、 ベロシティを計算するということです。
スクラム以外でも、ベロシティを生産性指標に活用にしてみてはいかがでしょうか?
※今回の記事には、こちらの記事を参考にしました。 → アジャイル開発でストーリーポイントを見積もる手順