並行処理時代を切り拓くActorモデル Akka

並行処理の弱点を解消するActorモデル

並行処理が持つ「デッドロックが発生しうる」「スレッド管理が大変」といった弱点からエンジニアを解放すると言われているのがActorモデルです。
Actorモデルはもともと、AIのためのアーキテクチャとして開発された数学的モデルです。
その歴史は古く、1973年に最初の論文が登場しました。
(参考: http://dl.acm.org/citation.cfm?id=1624804
モデルの構築にあたって、Actorモデルを動作させる並列コンピュータに幾つかの仮定を置いています:

  • 数百・数千のマイクロプロセッサからなる
  • 個々にローカルメモリを持つ
  • 高性能通信ネットワークで通信を行う

これらの仮定は、マルチコア環境が誕生し、大規模サービスの基盤として用いられるようになった昨今、現実のものになりつつあります。

AkkaのActorモデルを導入してコードを書いてみよう

Akkaは、Actorモデルに基づいて並行処理が書ける、Java又はScalaで動作するライブラリです。
以下に、Akkaの公式サイトに記述されているサンプルコードを示します。

import akka.actor.Actor
import akka.actor.Props
import akka.event.Logging

class MyActor extends Actor {
  val log = Logging(context.system, this)

  def receive = {
    case "test" => log.info("received test")
    case _      => log.info("received unknown message")
  }
}

(参考:http://doc.akka.io/docs/akka/snapshot/scala/actors.html)

サンプルコードでは、「MyActor」クラス、及び「receive」というメソッドを定義しています。
Actorモデルのプログラミングにおいてはこのようなactorを複数生成し、相互にメッセージをやり取りすることで動作します。

  • それぞれのactorはメールボックスとアドレスを持つ
  • actorの動作は非同期的(返答を待たずに次の処理に移る)

上記のコードで定義したactorの仕事は、「test」というメッセージを受け取ったら「"received test"」という文字列、それ以外のメッセージを受け取ったら「"received unknown message"」という文字列をイベントストリームに流すというものです。
メッセージの送り手となるactorをもう一人定義すれば、このプログラムを完全なものとして動作させることが出来ます。

Actorモデルでできること

Actorモデルで構築されたシステムの有名な成功例は、スウェーデンの通信機器メーカー・エリクソン社の通信システムです。 これはIoTの事例としても興味深いものです。
(参考: https://www.ericsson.com/research-blog/internet-of-things/edge-computing-in-iot/)

このシステムはErlangという、アクターモデルをサポートした並行処理指向のプログラミング言語で記述されています。
Akkaはもともと、Erlangに影響を受けて開発されました。 Akkaの強みとしては、子actorを定義しメッセージを一斉送信出来ることなどが挙げられます。 大規模な計算が必要なサービスに不可欠な並行計算の技術。まずはこんな形で触れてみてはいかがでしょうか。

弊社の取り組み

弊社では、クローラーの開発と保守を行っていますが、データの収集処理の並列化などで、 Akka Actor を利用しています。

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